去年の健康診断では何ともなかったのに、今年初めて糖尿病の予備軍だと言われた、尿糖が出ているから再検査の必要がある、血糖値が高くて糖尿病だと医師から言われて栄養相談を受けるよう言われたと言われる方もいます。
体は、なんともない(なんともないように見える)のに、どうして栄養士の話を聞かないといけないのだろう、注射を打たないといけなくなるのだろうか。食べられるものがなくなるではないか。さまざまな思いが巡ると思います。
現在の医療では、完治するとは言えないため、血糖コントロールをうまく行い、良い状態を維持して、合併症を起こさないことが大切です。
まずは、糖尿病とはどんな病気ということからお話ししたいと思います。
1.糖尿病って?
糖尿病は膵臓から分泌されるインスリンというホルモンの分泌低下や作用不足から起こる病です。
①Ⅰ型糖尿病
②Ⅱ型糖尿病
③その他の特定の機序・疾患によるもの
④妊娠糖尿病に分類されます。
ここでは、①と②についてお話しします。
①Ⅰ型糖尿病は、何らかの原因で、膵臓のインスリンを出す細胞が壊れることにより、インスリンが分泌されない状態になることで引き起こされる病です。インスリン注射によって、血糖をコントロールする必要があります。
②Ⅱ型糖尿病とは、生活習慣によって引き起こされる病であり、Ⅱ型糖尿病だと診断された方は、生活習慣や食事習慣の見直しが必要な場合があります。
発症のリスクとしては、
・遺伝
・肥満
・ストレス
・高血圧
・喫煙
・飲酒
がなどが上げられます。
日本人場合は、90~95%が以上がⅡ型糖尿病で、発症する年齢も、40~60歳代の年代の方に多いですが、最近では、小学生や中学生にもみられるようになっています。
糖尿病の初期は、症状が出ない方もおり、痛くもかゆくもないし、なんともないこともあります。しかし、何らかの症状が出始めたときには、糖尿病がかなり進行している可能性があり、ぜひ、早期からの生活習慣の改善をしたいです。
2.血糖と尿糖
しかし、血糖値が高い、尿糖が出ているといわれても、どんな状態かってよくわからないですよね。
血糖とは、血管の中のグルコース(ここでは糖分とします)のことを指します。血管の中に、ぷかぷかと浮いている糖分は空腹時でも60~110ml/dlであり、0になることはありません。それは、脳の栄養分として糖分は必要不可欠だからです。食事をして、炭水化物、主に糖質を摂取すると、血管の中に糖分が増えます。血糖値が上がるとか高くなるというのは、血管の中の糖分が多くなった状態のことを言います。ただ、糖尿病でない方は、食事をして1時間後には、インスリンの作用で通常の値まで下がります。糖尿病の方は、通常の値まで下がらなくなったり、インスリンが作用しにくくなったりしています。
尿糖とは、その名前の通り、尿に出た糖分のことです。通常は、腎臓でろ過されて、体内に再吸収されるため、尿に糖が出ることはありません。しかし、糖尿病で、高血糖状態が続くと、体内で使い切れなかった糖が尿に出てくるのです。
3.糖尿病をほっておくとどうなるの?
糖尿病、つまり血糖値が高い状態を放置しておくと、例えるなら、血管が砂糖漬けになっているようなもの。
治療をせず、放置しておくと、
糖尿病の3大合併症と言われる、
糖尿病神経障害:足先や裏、手の指に痛みやしびれが出現する
糖尿病網膜症 :目の網膜にある細い血管がむしばまれ、失明に至ることもある
糖尿病腎症 :腎臓の細い血管が傷み、腎臓の機能が失われ、人工透析を要する
が症状として現れます。
症状が出たときには、もとに戻ることができない状況まで進行しています。
4.Ⅱ型糖尿病にならないために
では、糖尿病にならないためには、どうしたらよいのでしょうか。糖尿病予備軍では、生活習慣や食生活の改善により、発症のリスクを減らすことが、世界中の様々な研究からわかっています。
①腹八分目を心がける
②野菜はたっぷりとる。
③肥満がある方は体重を減らす
④喫煙している方は禁煙を
などの生活習慣及び食生活の改善を行う必要があります。そんな、ざっくりしたことを言われても、わかりにくいと思われる方もおられると思います。
次回は、少し踏み込んだ改善のコツについてお話します。
皆様が、元気で過ごされますよう。